中国人の多数が「現金を持たずに外出」
中国で1日生活していれば、外出時に現金を持ち歩かない人が多いことに気づくだろう。病院や街の果物店でも、微信(Wechat)やアリペイ(支付宝)でスムーズに決済することができる。
このような新たなすう勢は、最新の統計データからも実証されている。テンセント(騰訊)、中国人民大学重陽金融研究院、イプソスがこのほど共同で発表した報告において、中国におけるモバイル決済の浸透率が詳細に紹介された。報告によると、回答者の84%は、「外出時にはスマホさえ携帯していれば、現金を一切所持していなくても何ら問題はない」と答えた。
また、報告によると、「スマート生活指数」ランキング上位5都市には、北京・深セン・広州・上海・成都がランクインした。報告では、交通・商業・民生などの角度から、都市におけるモバイル決済の浸透率が評価されている。キャッシュレス化のすう勢は、大都市以外にも起こっている。東莞や佛山も、スマート生活指数ランキングトップ10入りを果たした。「スマート都市は、中国の都市と農村の差を縮めつつある」と報告では指摘されている。
だが、キャッシュレス化の高年齢層への普及は、かなり遅い。年齢が低ければ低いほど、持ち歩く現金の額が少ないことが、報告から判明した。1960年代生まれの所持金平均額は557元(1元は約16.4円)だったのに対し、1990年後生まれは172元だった。2013年に「Wechat ペイメント」が開通する前は、ほとんどの中国人が現金に頼る生活を送っており、クレジットカードは米国のように普及していなかった。英国の市場調査会社YouGovが7月に発表した調査報告によると、中国におけるモバイル決済普及率は、今年73%に達した。IT系分析サイト「ストラテチェリー」創始者のベン・トンプソン氏は、「米国は率先してクレジットカード社会となった。一方、中国では、誰もがモバイル端末を持つ時代において、モバイルコマースとモバイル決済でトップの座についた」と指摘している。